石田衣良ブックトーク「小説家と過ごす日曜日」に掲載された、過去の記事よりQ&Aをご紹介!石田衣良の回答もご覧頂けます。

▼Q▼
自営業者として、もっとうえのステージに行くために、服装やもち物には気を使わなくちゃと思うようになりました。セルフブランディングの本を読むと、「ブランドの服やバッグや時計をもちなさい」と書かれていることが多いです。しかし、正直にいって一流のものを買い揃えるお金がありません。無理をしてでも良いものを買うべきでしょうか? もし「少なくともここにはお金をかけなさい」という物があれば教えていただきたいです。

【A】

これ、今は逆なんですよ。世界でも有数のリゾートなんかにいくとブランド物の服を着ている人が普通の会社員で、逆にビーチサンダルにぼろぼろのTシャツを着ている人が長さ50メートルくらいのクルーザーをもっていたりするんです。なので、今はそういうものはありません。たとえば服装でも、「靴と腕時計にはお金を使え」っていう男の人もいますけれど、そういうところで足もとを見て対応を変えるのは、基本的には飲み屋さんだけです。人間同士ってもっとその人の本質的な価値が大事なので、いい靴を履いているよりは、「会話にウィットがあってこの人は知識があるな」というほうがやっぱり素敵だし、ブランドの高級品よりは自分のセンスで好きな物を使っている感じがでているほうが素敵だと思います。セルフブランディングを目指して、身につけているのが全部ただのブランド品でしかないというのはもうやめましょう。

もし本当に大好きで「私はどうしても、一生貯金してもいいからマティスの素描がほしい」と思って、ついては「木炭画のデッサンで6000万円です」といわれて買うのであればかっこいいと思うよ。それがセルフブランディングです。ただカルティエやロレックスの時計を買うというのはセルフブランディングじゃないんだよね。だってただの物でしかないから。だから、あなたは全然気にしなくていいです。

もしブランド物で「わっ、このデザイン大好き」というのが見つかったなら買えばいいし、そうでないのであれば無理してお金を使う必要はまったくないです。ブランド品でガチガチに身を固めている人がいますけど、なにかコンプレックスがある人が多いです。「けっきょく居酒屋チェーン店のおやじだからさ」というような人が何千万円の時計をしていることがありますよね。自分の仕事に本当に誇りがあればいらないよね。たとえばラーメン屋のおやじがフェラーリに乗って高い時計をしていても「おまえはラーメン屋のおやじだろ?」ということになるんですよね。別にラーメン屋さんもいいのに、おかしな見栄を張るから、安っぽくなるのです。何が上とか下というのはなくて、そういう価値を自分でつくりだすということ自体が新しいブランディングだと思います。

こういうのって女性誌、男性誌でもよくあるじゃない。「ネット広告の社長です。ふだんはベンツとポルシェに乗っています。仕事のプランニングはオフシーズンにハワイにいきます」とかね。あんなの全部嘘っぱちばっかりだから(笑)。ああいうのに「完璧なライフスタイル!」とかいって憧れるのは本当にセンスが悪いからやめましょうね。

 

 

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