石田衣良ブックトーク「小説家と過ごす日曜日」に掲載された、過去の記事よりQ&Aをご紹介!石田衣良の回答もご覧頂けます。

▼Q▼

私には4年つきあっている彼氏がいます。同じ会社の同僚だったのですが、安い給与の会社では将来的に不安があるため、彼に転職をすすめました。彼は最初から私との結婚も視野に入れていたので、私の要望を真摯に受けとめ、転職活動をして以前より条件の良い会社に転職をしてくれました。そのうえ、私の実家近くに引っ越しまでしてくれました。そんな彼の気持ちは嬉しいのですが、私は彼との結婚に踏み切れずにいます。というのも、私には大好きな母がいます。今までも実家から離れたことはありません。母から離れたくないという気持ちと、母が彼に対してあまり良い印象を持ってくれていないということがずっと引っかかっています。優しい彼と結婚を決めるか、彼と早めに別れるべきか、どうすればいいのかわかりません。

 

【A】

これはもう問題がはっきりしていますよね。彼じゃなくて、あなたとあなたのお母さんの関係が問題なんです。こういうふうに娘とべったりくっついてしまった母親って、たとえば彼を紹介されると「素敵、いい人ね」というんだけど「結婚したい」と娘がいったとたん潰しにかかるんです。ようするに、母親は彼女のことをコントロールすることが愛することだと思っているのです。そういうモンスターみたいな優しい母親に、あなたは完全に取り込まれてしまっています。今の彼を逃すのはかまわないんですけど、つぎに誰が現れても、母親を選び続ける限り、生涯ふたりきりです。どこかで自分と母親の関係を見直さないといけません。それができなければ、まぁ、幸せにはなれないよね。

 

いいですか、お母さんはいつか亡くなります。だからどうすればいいか本当に真剣に考えてみてください。今あなたは完全に母親の人間観で人を見ているので、母親が嫌いな人とはつきあえないと思っているんですよね。でもこの条件だけ見ても彼は優秀だよね。転職をして、引っ越して、彼女が決めたプランどおりに、きちんと手順を踏んでがんばってくれている。だとすると問題は彼ではなくて、あなたとあなたの母親にあるんじゃないかな。

 

だから、こうしましょう。お母さんから離れてひとりで外に出て、今まで母親があなたにしてくれたよいことと、どうしても許せない嫌なことを、2枚の紙に書きだしてみてください。そうしてそのバランスをもう一回考えてみる。母親はあなたとただ仲がいいだけじゃなくて、「あなたのためだよ」といってあなたの人生をコントロールしようとしたり、支配しようとしたりしていないか。今もその最中じゃないか。結婚に反対するのはあなたを自分のそばに所有物のようにおいて、支配するためじゃないか。そんなことを、別の角度から考えてみてください。

 

「母原病」というんですけど、そういう病気や、精神疾患に関する本はたくさんあるので、自分もその可能性があると思って読んでみてください。おすすめは岸田秀の『ものぐさ精神分析』。最終章で母親との憎しみの関係を書いているので、これを読んでハッと思い当たることがあれば、やっぱりあなたも母原病の可能性があります。

 

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