石田衣良ブックトーク「小説家と過ごす日曜日」に掲載された、過去の記事よりQ&Aをご紹介!石田衣良の回答もご覧頂けます。

▼Q▼
スペインでは、マイホームが子や孫に受け継がれていく資産になっているという話を聞きました。そこでは100年も200年も家を使い続けることは当たり前だそうです。日本では、税法上木造の戸建ては約22年で資産価値がほとんどなくなります。日本の技術をもってすれば、もっと耐用年数の高い家やビルを作ることは可能だと思うのですが、なぜ一代でつかい捨てにされるような家ばかり建築されるのでしょうか?

【A】

単純にいうと、家というのはその国の文化や風土のシンボルなんですよね。日本では、江戸時代に大きな火事があると街中の家が焼けてしまうということがたび重なったので、普請がもともとすごく安いんですよ。木造の家をパパッと組んで、紙を貼った襖や障子でとじて畳を置いておしまいというパターンだったので。「家ってこの程度のものしかできないんだ」とみんなが思い込んでしまったのが間違いのもとなんですよね。今の技術をもとにした100年耐用の住宅というのは実際にいくつもあります。 これからはみんなの考え方を改めて、100年使える家を建てる。その場合にすごく大事なのは、実は新しい家を建てることじゃないんですよね。中古住宅の市場をちゃんとすることです。アメリカだと新築住宅の何倍もの中古住宅市場があって、初めて家を買う若い人たちは中古住宅のちいさな家を買うんですよ。そして、お金を貯めてつぎの家にステップアップしていく。好きな家を建てるのは中年になってお金ができてからなんです。日本でも、みんなで中古住宅市場をいかして、耐用年数のある100年住宅に住んでいくようにしましょう。それをみんなでやれば、いくらでも使い続ける家ができると思いますよ。

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