▼Q▼年を重ねる中での、石田さんのこだわりや心がけていることがあったら教えてください。　─　恋と仕事と社会のQ&Aより

石田衣良ブックトーク「小説家と過ごす日曜日」に掲載された、過去の記事よりＱ＆Ａをご紹介！石田衣良の回答もご覧頂けます。

▼Q▼
石田さん、先日の講演会で「50歳で青春が終わったと思った」と笑いながら話されていましたが、私には、年を重ねるほど素敵になられているように感じられます。自由で軽やかで、感性豊かで、深みがあって……。年を重ねるなかでの、石田さんなりのこだわりや心がけていることなどありましたら、ぜひ教えて下さい。

【A】

それに関しては、本当にないんですよ。努力といえば、新しいファッションに気を使っておくことくらい。なんとかごまかし、ごまかし生きているだけなので、そんなにいいもんじゃないんだけどなあ(笑)。ただ、いつも新しいものとか、新しい表現、音楽でも映画でも本でもいいんですけど、そういうものにはふれておいたほうがいいと思いますね。心というのは年とともに固くなっていって、どんどん暗くて深刻なものが好きになっていくので、今の時代の表現というものにふれておくのがいいんじゃないですかね。ちなみにぼくが服を選ぶときは、飛び込みでお店に入って、みんなが買わないようなちょっと隙のある服を買っています。男の服はかわい気が大切だなと思って遊んでいます。人間って「これ好きだな」と思うようなことをやっていると、わりとニコニコできるのね。あなたも自分の好きなことを生活の中心に据えてみたらどうですか。仕事や家族のお世話がたいへんかもしれませんが、それ以外のときに好きなことを趣味で楽しんで、心をたくさん動かして泣いたり笑ったりする。心が動くと本当に表情や体が若くなるんですよね。あきらめてしまうと途端にカチカチになるので、それをがんばってやっていくしかないと思うな。あとはどんなに何があっても自分を笑うユーモアがあれば人生は大丈夫です。