石田衣良ブックトーク「小説家と過ごす日曜日」に掲載された、過去の記事よりQ&Aをご紹介!石田衣良の回答もご覧頂けます。

▼Q▼
20歳、大学生男子です。うまくいくかわからないことに挑戦する気がしません。例えば将来のことでも、ほんとうは自分の興味のある研究分野に行きたいけれども、それで将来的に生計をたてられるのか不安で二の足を踏んでしまいます。恋愛もそうです。周りは「やりたいならやってみろ」と言いますが、結局苦労するのは自分なんです。それでも、周りの言う「チャレンジすべき」という意見の方が正しいのでしょうか?

【A】

アベノミクスだなんだと言っても、今は不景気で厳しい時代じゃないですか。ですから「安全策を打ちたい」という気持ちはよく分かります。自分の人生ですから、自分で決めていいんじゃないですか。「自分は一生石橋を叩いて渡る。安全策で生きていく」と決めて、誰になんと言われようと揺らがないのがいいと思います。研究の分野でも、「こちらのほうが、これからの時代は安全そうだ」と思うことをやればいいし、彼女を作るときも、向こうからアタックしてくれた子とだけつきあえばいいと思います。ここが人生の面白いところなんですけど、そうやってどんなに安全策をとったところで、予想はほとんど外れてしまうということなんですよね。

これは、ぼくが若い頃、大学の就職科の人によく言われたことです。一昔、二昔前ぐらいは、財閥系の石炭会社が人気で、当時の超エリートたちが行く場所でした。でも、それから20年くらいで日本の石炭産業は完全に衰退してしまったんですね。ぼくが大学生のころはソニーやパナソニックに入社できるのは、理数系ではすごく優秀な生徒に限られていました。でも、今や電機産業はこういう状態じゃないですか。あなたがどんなに考えて安全策をとってもその読みが外れる可能性はいくらでもあるということです。それを分かった上で、「それでも自分は安全策で行きたい。一生、できるだけ安全な確率の高いところに行きたい」というのであれば、それはもう自分の決定なので人に何を言われようがやるといいと思います。安全な道だけを歩いて生きてみるといいですね。その先にどんな落とし穴があるか……? でもその落とし穴も含めて人生の面白さなので。自分の見えている安全が未来のすべてだとは思わないほうがいいと思いますね。

人間の心って、基本的には「行こう」「いや、やめておこう」というふたつが必ずあるもの。ですが、じっくり考えて、自分の心の声を聞いていると、重りを乗せた天秤がカタッと傾くことがあります。人に言われて決めたことだと納得できないんですけれど、時間をかけてゆっくり考えた結果、カタッと天秤が傾いたときは、成功しようと失敗しようと自分の確信があることなので後悔はないと思います。

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